光蓮寺|岐阜県可児市のお寺

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【レポート】お寺でまちおこしを考える。MACHI×TERA(前編)

【レポート】お寺でまちおこしを考える。MACHI×TERA(前編)

11月6日。気持ちのよい秋晴れの中、無事「MACHI×TERA」が終了しました。ご予約の段階で満席となり、出演者&スタッフの皆様を含めると、本堂から人が溢れんばかりの人が集まり、皆様の温かい雰囲気が絶えず会場を包み込んでいました。

お寺とまちの「ギャップ」を感じていた。―山本正憲

バイオリンのお坊さん、御嵩・洞興寺の山本正憲さん。

今回は「お寺とまちおこし」という一見異質なテーマのイベントですが「お寺は地域と共に生まれ、そしてその寿命を共にする」という点で見れば、それはとても自然な事とも言えるかもしれません。
イベントのオープニングの「お坊さんズのぶっちゃけ寺トーーーク」では、御嵩町の洞興寺の山本正憲さんをお招きし、このイベントの開催までの経緯や、それぞれのお坊さんが抱えている想いに焦点を充ててお話をさせていただきました。

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お坊さんズのトーク&ライブ

もともと、広島県の一般の家庭出身でありながら、僧侶になることを選ばれた山本さんは、お寺に入られてから、お寺が浮世離れして、あまりに地域とのギャップを抱えながら過ごしていることにショックを感じたといいます。
法事や葬儀という日々のお仕事の中だけでは、その町の人々の姿を知るにはあまりに偏ってしまい「どうにか地域との接点を持ちたい」という思いの中で、バイオリンの弾き語りという活動をはじめ、地域と積極的に関わっていく試みを続けておられます。(山本さんのお坊さんバンド一期一会について詳しくは→こちら

近頃は、全国的にお寺でマルシェやカフェを開くお寺があったり、テレビのバラエティ番組にお坊さんが登場することもありますが、こういった活動の裏側には、地域と再び繋がり直し、ともに生きようとするお坊さんたちの思いがあるのかもしれません。
山本さんのバイオリンや、私のギターの演奏なども交えながら、ゆるゆるとイベントの幕が上がっていきました。

地域に音楽の種を撒きたい。―佐伯直斗

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フェスへ込めた想いを語る、ROCKFILLJAM制作委員長の佐伯直斗さん。

イベントの開催にあたり、会場の装飾や当日の音響や照明は地元で音楽活動をされている皆様にご協力いただきました。今回、それを取りまとめて下さったのが「ROCK FILL JAM」という可児市の音楽フェスの制作委員会の皆さんです。

はじめに佐伯直斗委員長よりROCKFILLJAMの紹介や、イベント制作に関わるようになった経緯などをお話いただきました。
佐伯さんは高校生からバンド活動をする中で地元のライブハウスの閉店に立ち会ったり、都市部で音楽活動をする人が増えていくなど、経年と共に地元の音楽文化の元気がなくなっていくのを感じていたそうです。
20年以上前に可児市で生まれた「ヤングミュージックフェスタ」という音楽イベントも、一時は泉谷しげるさんをゲストに招くほどに栄えたのですが、バンドブームの衰退と共に活動の幅が狭くなっていきました。

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会場の音響や照明を担当した地元のバンドマン。

可児市にはヤイリギターなど世界に誇る音楽スポットがある中、このままでは音楽をやれる場所も、活動していく人も、はじめてみようという人も居なくなってしまう。という危機感もあり、佐伯さんはイベントの委員長を引き継ぎ、名前を「ROCKFILLJAM」へと変えてイベントが地域の人々にとって敷居の低い参加しやすい「フェス/お祭り」になるように奮闘している様子を話してくださいました。
(ROCKFILLJAMにについて詳しくは→こちら
「今の人から人へ音楽の輪を広げるだけでなく、次の世代へ、未来の音楽家のための種撒きとして頑張っていきたい」と語り、今回出演していただく2組のアーティストにバトンを渡しました。

ライブ:「居眠りすずめ」「鍵穴」

「居眠りすずめ」ライブ

最初に登場した「居眠りすずめ」は、この地域で長い間音楽活動を続けている「おやじ世代」のお2人のギターと、ボーカルにその娘さんたちの大学生2名を迎えた4人組のユニットです。
メンバーの古田さんが「構想15分、練習4時間」と冗談混じりにお話しておりましたが、そこはさすが長年活動されているおやじたち。息の合った素敵な演奏に、かわいい歌声が混ざり、 竹内まりやさんの「元気を出して」や、ユーミンのカバーなど、世代を超えて愛される曲の演奏に会場からは手拍子も起こり、場が暖かくなっていくのを感じつつ、佐伯委員長の「次の世代へ」というメッセージを再び感じさせる時間となりました。

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「鍵穴」ライブ

続いて登場したのが、岐阜や名古屋を中心に活動されている「鍵穴」。
演奏のはじまりとともにギュッと会場の空気が研ぎ澄まされるのを感じました。ホールやライブハウスよりもずっと近い距離で、観客席からも演奏そのものの息づかいが肌で感じられる迫力のステージ。

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鍵穴Rikoさん

演奏した6曲はすべてオリジナル曲で、それぞれの曲に込められた想いを語る場面もありました。
鍵穴さんはこの後MACHI×TERAの中で上映された「光射す」の主題歌も作られていますが、地域の文化作品の中に、地域の音楽家が参加していること、演じ手がその場にいることによって「人の血がかよっている」というリアルさを作品の中から感じるのだな。と感じました。
(鍵穴のWEBサイト→こちら

それぞれのストーリーが語られる場として

お坊さん、アーティスト、制作会社、NPO関係者、市役所の方々など、本当に多くの方に関わっていただき、また、お越し頂いた1日でしたが、本堂の中、色々な人の話や演奏を見聞きする中で、どこか一つの映画を見ているような気分になりました。

それぞれの登場人物が、それぞれのリアルと向き合う中で、自らが背負ったストーリーの中、アクションがはじまっていて。カメラが回っていない日常の中にも確実にドラマがあり、普段は語られる事のないそれらを今回、ステージというスクリーンで上映していたような感覚。
一見連続性のないショート・ショートの映画なのに、それらを一つの映画として閉じ込めてみると、どこかに共通するものを感じる。
例えば、シンプルに良い物を追い求めたり、誰かから何かを継承したり、新しい活動を初めたり、継続することなど、本来はそれぞれの登場人物が持っている個別のストーリーですが、その背景には「その町に住んでいること」という一貫したドラマがあって、それを客席からみた時にはじめて「まちおこし」というタイトルに収まっていくのだと感じました。

開演の合図で喚鐘を鳴らす、岐阜・専応寺の髙賀真さん。

今回はステージ上ではなく、スタッフとして関わってくださったメンバーの中にも、ピックアップしてみればそれぞれのストーリーを抱えていらっしゃる方々がたくさんいらっしゃいますし、熱心な活動を続けておられる方もいらっしゃいます。
例えば、イベントの開演時に喚鐘を鳴らすお手伝いをしてくださった専応寺の髙賀さんも、お寺で「フェアトレード」をテーマにしたイベントを行っています。(専応寺のWEBサイト→こちら
また、受付を担当してくれた北濱美穂さんは女筆人として筆文字を書く活動をされて、以前光蓮寺のイベントにも出演していただいたこともありました。(女筆人北濱美穂のWEBサイト→こちら

今後も、人々の活動が交差しつながる場所として、またはそれぞれのストーリーが切り取られ語られる場所として、その町の歴史とともに生きた「お寺」という場所を使っていただけると有り難いなあと思いました。

少しフライングをして映画のお話もしてしまいましたが、レポートの後編ではこのMACHI×TERAのクライマックスにあたる「各務原市まちおこし映画『光射す』上映会」のレポートをします。どうぞお楽しみに!

<span class="icon-user">この記事を書いた人<span>

五藤広海光蓮寺|僧侶
29歳。可児市の歌って喋るお坊さん!日々の法務の中、講座「五木寛之著『親鸞』をたのしく味わう』や「大切な人を亡くした人へ-やさしい法話会-」などを開催。仏教系音楽ユニット「あみださまがみてる」のボーカルとギターとしても活動中。
講演やライブのご依頼もお待ちしています。
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